実験動物
Online ISSN : 1884-4170
Print ISSN : 0007-5124
ISSN-L : 0007-5124
系統マウスの繁殖成績と計画生産について
長澤 弘宮本 盛吉藤本 政晴
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 22 巻 2 号 p. 119-126

詳細
抄録

系統マウスの生産を効率よく行なうための基礎データを得る目的で, 当研究所で系統繁殖している8系統のマウスの繁殖性について, 交配分娩間隔, 産子数, 正常分娩率, 分娩時母体重, 0, 12, 20日齢平均子体重, 12日齢増体率, 12, 20日齢育成率, 繁殖不能個体率, 死産子率などを調べ, これらの成績に基づいた生産方法, とくに追いかけ妊娠方式による計画生産についての試案を作成した。
分娩間隔においてBALB/cHeのみが約5週間で長かったが, 他の系統は約4週間であった。産子数においては系統内産次間で顕著な変動はみられなかったが, 系統間においては相違が認められた。正常分娩率ではC3HeB/FeJax, CBA, C57BL/6Jax, C3H/HeMs, Aでは90%前後であったが, BALB/cHe, RIII, DBA/2は70%であり, 良いグループと悪いグループに2大別された。20日齢育成率でもRIII, Aが他系とくらべて悪かった。
以上の成績を基にして, 週単位の生産を基準とした追いかけ妊娠による計画生産の試案を作成した。分娩間隔の成績から生産群の編成はBALB/cHeを5群, 他の系統は4群を設け, 各系統の分娩率, 産子数, 育成率の平均値を用いて, 毎週100匹の動物を生産するのに必要な生産親ケージ数を算出したところ, C3HeB/FeJax, C3H/HeMs, C57BL/6Jax, CBA, BALB/cHe, A, RIII, DBA/2ではそれぞれ76, 84, 88, 96, 160, 168, 200, 200ケージとなった。
本実験の一部は文部省科学研究助成金 (がん特別研究1, No.90183) によるものである。

著者関連情報
© 社団法人日本実験動物学会
次の記事
feedback
Top